夢に手が届くまで

諦めたくなくて、

ーーキーンーコーンーカーンーコーン。



6時間目のチャイムが鳴り終わると、わたしは速攻で問題集を片手に持ち階段をかけ下りる。


C組は階段から近い方だからまだありがたい。



何にこんなに必死かっていうと。

あと一週間後に迫った中間試験を前に、フリぺに集まる高三や高一が多い。



問題集を置いて席を取らないと、先生に質問もできっこない!

そう思ったわたしは昨日から6時間目のチャイムが鳴り終わると、毎日のマラソン大会。


2階階段を下りて席をふたつとるだけだから、簡単なんだけどね。




「相変わらず抜かりないね〜」


「あ、美織(みおり)ちゃん!!」


「よっ」



問題集を置き終わると、私の行動に関心しながら手を叩く山下(やました)美織ちゃんの姿が目に止まった。



「まーた、松崎先生?」


「そうそう、質問しかないからさぁ。」



なんて苦笑いすれば、美織ちゃんも笑う。



美織ちゃんは2年A組の医学科の女の子。

ショートカットでサバサバしていて、自分の意見を堂々と言える彼女とは、フリぺで知り合った。




美織ちゃんは頭が良かった。

松崎先生に質問に行くのは応用問題だけ。

やっぱり医学科を志望するだけあって、レベルが高かった。


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