夢に手が届くまで
「佐伯〜(1)計算違う」


二項定理の問題も少し前の分からないが嘘のように解けるようになって、少しずつできる問題も増えた。


わたし横に腰を下ろした松崎先生の言葉にわたしは慌てて消しゴムで消す。


あー…またやっちゃった。

展開どうしても頭の中で処理しようとして間違えるなぁ、、。



よし、と思い展開の式を丁寧に書いていけばやっぱり解ける。

……途中式、少しの間丁寧に書こう。




「今日はどこ?」

「付箋の場所です」



つい2週間前は問題集に付箋が沢山ついていた。

解けない部分がいっぱいあったけど。



毎日毎日、教えてもらうようになってから付箋は少しずつだけど消えていく。

付箋を外すのが楽しくて、分かるって楽しいじゃんって思うようになった。


だから、数学の勉強に対しての苦痛が前よりはかなり減ったのだ。



今日は恒等式の説明とベクトルの説明。

松崎先生はかなり崩して教えてくれるから、分かりやすかった。



「ここまでは、分かる?」


さり気なく聞いてくれるその言葉。

でも、分からなければもう分からないということも出来る。



「ここから、分からない」

「違う説明の方がいいかな」


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