夢に手が届くまで
わたしは一通り質問を終えた後、物理の先生に質問に行くからといい、先生に「ありがとうございました」と頭を下げる。


ちょうど、美織ちゃんが先生を呼んだので美織ちゃんに教えに行く先生。

その先生に後ろ姿にもう一度頭を下げてから、わたしは職員室に向かう。



ーーコンコン。


「失礼します。2年C組佐伯椛です。浜田先生に用事があってきました」

もう、ここ2週間で慣れてきたこのセリフ。



でも、恥ずかしいことにわたしが職員室に入ると誰かが松崎先生を呼んでくれるの。

嬉しいし、ありがたいんだけどやっぱり少しだけ恥ずかしい。



松崎先生以外を呼ぶのなんか、高二になってから初めてで。

浜田先生はわたしのところに来るなり「ちょっとまってて」と一言残すと、紙とペンを持ってくる。




そして、フリぺが埋まっていることを伝えれば職員室の隣の空き教室に連れて行ってくれた。


「どこ、質問」


物理はまだ基礎しかやっていないけど、もうチンプンカンプンで。

今は、確かV-Tグラフとかの範囲だけど、どうしても現象が理解できないから難しい。


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