夢に手が届くまで
問題を説明されるけど、わたしの頭の中の"?"は消えなくて。

余計に疑問が生まれる。


「えっと…ここからわからないです」


「え、これはさっきも説明したじゃん」



つまづくところがいつも同じで、でもそこが分からないんだもん。



「佐伯さんってC組だよね?」


「はい…」


「理数科なのにこれもできない?」



浜田先生のその一言は、私の心にグサリと突き刺さった。

……理数科だから出来ない?って、わかんないから聞きに来てるんじゃん。



そう言いたいのをぐっと堪えて、浜田先生の言葉に耳を傾ける。



「ここまでは?」




先生の指さしたところからよく分からなくて首を横に振れば


「理数科なんだから出来なきゃ困るよ〜」


なんて言われて。



容赦ない言葉にわたしの目には涙が溜まる。

でも、この先生の前では流したくなくて。



まだ、質問は沢山あったけど「もう大丈夫です」とだけ言い残しわたしは問題集とノートを持って部屋を出たーー。



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