夢に手が届くまで
「さあ、帰って勉強しな」


わたしが落ち着くのを待ってから、先生は言葉を放つ。

腕時計に目を移せば、もう6時を指していた。



「松崎先生、ありがとうございましたっ」


「がんばれ」



先生の言葉に、わたしは力強く頷く。


諦めたくないもん。



悔しいことで泣いて、自己嫌悪で泣いて、自分の出来なさにイライラして泣いて。


でも、先生の一言でこんなに頑張れるわたしがいる。


"好き"そう口に出してしまえばいいのだろうけど。

それは許されないから。



だったら、わたしはその思いを全部勉強にぶつけようって。


そう思ったんだーー。



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