夢に手が届くまで
そんなことが叶うわけはなく、二限が終わりわたしは目に涙を溜めたままテストを持ちトボトボと階段を降りる。


なんて謝ろうかな、先生に。

もう教えてくれないかな。



そんなことを思いながら職員室のドアに手をかけた、その時ーー


「……佐伯?」


職員室内からでてきた人物に目を丸くした。



……先生、超能力者なの?

わたしが来って分かったの?



そう言いたいのに、言葉なんかでなくて。


先生の顔を見たらいろんな思いが溢れ出てきて


「ううっ……ひっく……」



涙が止まらなかったーー。




擦っても擦っても溢れてくる涙。

謝らなきゃ、謝らなきゃっ。



「……ごめんな、さいっ…」


少ししてでてきた言葉はそれで。



わたしの言葉に、先生は「45点でしょ?」って優しい音色で奏でた。



「ひっく……なんで、知ってるの……っ?」




頭が回らないわたしは、敬語なんか忘れて。

思わずキョトンとした顔をで聞く。



「きいたの、昨日。」


ああ、数2の先生から聞いたから知ってるのか。

ごめんなさいの一言しかなくて。



悔しくて、もっと取りたかった。



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