夢に手が届くまで
「影山がさ今日昼休み俺のところ来たんだ」


「……えっ?」



黙り込んだわたしに向かって先生はそう言葉を発した。


……凪紗が?

確かに、職員室に行くとは言ってたけど。


なんで、先生の所に?



「"椛が悩んでるけど相談しずらいって言ってた。でも、わたしはあの子に勉強やめて欲しくない"って、あいつ俺に頼んだんだ、お前の相談聞いてやってって」



"いい友達もったな"って、先生は付け足すと少しだけ口角を上げた。




……凪紗。

凪紗の優しさに、胸がジーンと温かくなる。



なんか、高二になって涙腺おかしくなったのかな。

最近ちょっとしたことで、泣きそうになっちゃう。




「……テストが終わってからモチベーションが上がらないんです。」



少ししてからわたしが言葉を出せば、先生はわたしのほうを見て"ゆっくりでいいから"と言わんばかりの顔をする。


だから、わたしも言葉を選びながらゆっくり紡いだ。


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