夢に手が届くまで




放課後も、いつも通り先生に質問するためフリぺに行く。

テスト前のフリぺの取り合いはほんとに嫌い。



「椛〜、ねね、松崎先生が教えてくれたプリントある?」


フリぺに腰をかけ先生を待っていると、クラスメイトから声をかけられる。


松崎先生は教えたことを紙に書いてくれてその紙をそのままくれる。


私はファイルから慣れた手つきで渡すとクラスメイトは笑顔で受け取る。


「これ、このまま借りてくね!」


「え!ちょ…ちょっと……!!」



そんな、あんまりだ。

テスト前で焦っているのは、みんな同じ。



だけど、あの問題は今日の朝早起きを頑張って先生に教えてもらった問題なのに。


悔しい、悔しいなあ。




心はモヤモヤしたまま、「佐伯〜お待たせ〜」


なんて、呑気な先生の声が聞こえた。


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