夢に手が届くまで
クラスメイトからの地味な嫌がらせはそれからも続いた。

私が放課後松崎先生をフリぺで待っていると、「いつも椛ちゃんとか美織ちゃんが松崎先生占領してて聞けないよねぇ〜」なんて、心無い言葉が四方八方から飛んでくる。



「椛、大丈夫?顔色悪いよ」


「……美織ちゃん。」



美織ちゃんは、数学の問題集を開きながら俯く私に声をかける。



「大丈夫だよ」


へらっとした笑顔を浮かべるけど大丈夫なんかじゃなくて。

まだまだ周りの目や、ちょっとした事で胃がキリキリするなんて私も胃が弱いなぁ…っ。



「言わせたいやつには言わせとけ。頑張ろう、絶対」


「……ありがとうっ」



大きな二重のきりりとした目で美織ちゃんはクラスメイトを睨みつけると、小走りでその子達は逃げていったーー。




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