夢に手が届くまで
「椛〜帰ろ〜」


時間はあっという間にすぎ、6時の最終下校時間。


凪紗も勉強を終えフリぺの前で美織ちゃんと3人になった。



松崎先生もいつも教える黒いバインダーを片手に抱え私たちと雑談タイム。

この時間が唯一の癒しで、1番好きな時間だった。

だって、先生のことを知れる時間だったから。




「そういえば、佐伯数学以外は大丈夫なの?」


「やばいです。不安です」



大丈夫なんて胸を張れる科目なんかひとつたりとも無い。


生物も、物理も英語も不安ばかりだ。



だけど、だけどね先生。

嬉しいこと一つだけあるんだ。



「ターゲットのテストまた満点でした!」



そう、毎週月曜日と木曜日に行われる朝のターゲットのテスト。

ここ2週間はずっと満点を取り続けているのだ。



「すごいじゃん!ちょっとずつ成長してきたね」


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