夢に手が届くまで

負けたくなくて、

「今日のテーマは、"自分が頑張っていること"です。前回の書き方にならってかいて来週のテストまでに提出してください」



次の日の、小論文の時間に鮎川茉優(あゆかわ まゆ)先生が白いチョークを黒板に走らせながらそう言葉を放つ。



小論文苦手なんだよなあ……。

"今自分が頑張っていること"か。



思いつくのはたったひとつで、苦手なりに私はシャーペンを走らせる。


書くのが遅くて周りの子達がどんどん提出する中、私ともう一人の子だけ時間内に提出出来なかった。


……なんで、私はこんなにみんなと違ってダメなんだろう。


劣等感、不安ネガティブな言葉達が私の心の中を占領して泣きそうになる。

高校二年生になって、松崎先生と出会ってから涙腺がおかしいの。



ちょっとした事ですぐ悔しくて、自分にイライラして。

こんな自分だって本当は嫌いなのに。



どうやったら、私は強くなれるのだろうか。

どうやったら、周りのみんなみたいなれるの。



そんなことばかり、考えていたーー。




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