夢に手が届くまで
叶わないと知っている恋だから。叶ってはいけない恋だから。
言葉にしたら切なくなってどうしても涙があふれてしまうから。
”好き”その二文字が素直に口にできたらどれだけいいだろうか。
だけど、先生が好きだから質問しているとか、数学を頑張っているとか思われたくなくて、少し先を歩く先生の背中を追うだけで精いっぱいだったーー。
「そういえば、小論文は書き終わったんすか?」
階段をテンポよく上がる先生が振り向いて私に尋ねる。
あれ?なんで先生小論文あること知っているの?
私伝えたっけ?
私がキョトンとした顔で松崎先生を見ていると先生は笑ってこちらを見た。
「鮎川先生から聞いたんす。最近は職員室であなたの名前をよく聞きます」
ねえ。ずるいよ、先生。
そんなこと言われたらすごくうれしくてうれしくて、どうにかなっちゃいそうだよ。
「小論文苦手なんです。でも書かないと書けるようにならないからっ」
「四月に比べると成長したねぇ」
たった一言。
その一言で頑張れる私がいる。
「ほら、授業始まるよ」
「はいっ!」
先生の言葉で私は元気よく返事をすると緩む口元を引き締め教室に入ったーー。
言葉にしたら切なくなってどうしても涙があふれてしまうから。
”好き”その二文字が素直に口にできたらどれだけいいだろうか。
だけど、先生が好きだから質問しているとか、数学を頑張っているとか思われたくなくて、少し先を歩く先生の背中を追うだけで精いっぱいだったーー。
「そういえば、小論文は書き終わったんすか?」
階段をテンポよく上がる先生が振り向いて私に尋ねる。
あれ?なんで先生小論文あること知っているの?
私伝えたっけ?
私がキョトンとした顔で松崎先生を見ていると先生は笑ってこちらを見た。
「鮎川先生から聞いたんす。最近は職員室であなたの名前をよく聞きます」
ねえ。ずるいよ、先生。
そんなこと言われたらすごくうれしくてうれしくて、どうにかなっちゃいそうだよ。
「小論文苦手なんです。でも書かないと書けるようにならないからっ」
「四月に比べると成長したねぇ」
たった一言。
その一言で頑張れる私がいる。
「ほら、授業始まるよ」
「はいっ!」
先生の言葉で私は元気よく返事をすると緩む口元を引き締め教室に入ったーー。