夢に手が届くまで
***


「できました!遅くなってしまいすいませんでした。」


私が小論文を提出できたのは、テスト二日前だった。


悩みに悩んで、夜な夜な何度も書き直しを繰り返して、ようやく納得のいくものがかけたのだ。


「頑張ったね~!椛ちゃん、これさ松崎先生に見せてもいいかな?」

「え?」


こんな下手な文章を松崎先生に…!?

いやいや、こんな文見せられないよ。



「嫌なら全然いいんだけどさ、椛ちゃんが書いた内容って数学のことでしょ?」



書いていた内容を一発で当てられ、なんだか恥ずかしくなった。

数学しか思い浮かばなくて、書きたい内容はすぐに決まった。


バレてななんて、恥ずかしい……。



「これ松崎先生がみたら絶対に喜ぶと思うんだ。椛ちゃんの頑張りを近くで見てるからね」


鮎川先生の言葉に、私は頷く。

きっと先生は毒舌だからさ、「やっと出したか」っていうくらいで、内容について触れるかなんてわからないけれど。



松崎先生の言葉が頭にあるから負けたくないと思うんだ。
自分にも、みんなにも。



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