夢に手が届くまで
でてきた涙は止まらなくて、留めなく溢れでてきた。


「俺さ、去年何回も言ったよね?」


「うっ……ひっく…」


「理系の道は辛いよ、って。」



……たしかに、松崎先生は何度もその言葉を言っていた。


でも、わたしは何とかなるだろうって。

今までだってなんとかしてきたから、今度もきっとって。



覚悟なんかまるでなしに、ここにきた。

松崎先生は何度も忠告していたのに、それに耳を貸さなかったの、わたしだ。




「でも、その道を自分で選んで選択してきたんでしょ、貴方は。」


「はい……ひっく。」



まだ、涙がひかないわたしは、そのままの状態で顔を上げる。


パチリと視線が松崎先生と合った。



「自分で選んだ道なんだから責任を持ちなさい」



松崎先生が放った、たった一言。


なのに、その一言にはずっしりとした重みがあって、私から1ミリも目を逸らさずに話す松崎先生から視線をそらせなかった。


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