桔梗の華 ~途中公開~
「おい、妖気がこっちに向かってくるぞ!」
村は騒がしく妖怪退治屋の一族なだけに
皆、武器を手に構えて戦闘態勢に入る
まだ子供な蘭丸達は
お寺の中で身を隠していた
「怖いよ…」
震える鈴音の手を握る
蘭丸と凛丸は寺の外の様子が
気になりつつも息を潜めた。
外からは妖怪と戦っている村の人達の声が
他の子供はそんな外の声に震え
泣き出す子も出た
「大丈夫、きっと大人達が退治してくれる」
凛丸はみんなを落ち着かせようと
安心する言葉を掛けた
「ほう…童子共がこんなに」
知らない声が寺の中に響く
ビクっとみんなの肩が揺れる
「我がこの様な軟弱な結界入れぬとでも思ったのか…くっ笑わせてくれる」
黒いモヤが蘭丸たちの前に現れ
そこから闇雲の姿が浮かび上がる
「退治屋も大した事ないんだな」
凛丸は腰に刺していた小刀を
闇雲目掛けて突き刺す、
だが案の定闇雲はそれを軽く交わす
「お前!なにか目的だ!」
「ほう、我に向けるその怒りの目は幼きながら珍しい。」
小刀を向ける凛丸の手は微かに震え
それを見た闇雲は鼻で笑う
「特に理由はないが…そうだな、暇潰しとでも言っておこう」
暇潰し…だと
そんな理由で村に奇襲掛けてくるって…?
きっと戦死した大人もいる…
ニヤケついた闇雲に怒りが湧き上がる
「許せない!」
「!!蘭丸!!」
蘭丸も小刀を闇雲に向けて
凛丸の隣に立つ、
「お前らみたいな妖怪は絶対許さない!」
「……ひ弱な子供に何が出来る」
確かに力もないし俺たちは子供だ
でもこんなとこで殺されてたまるか
蘭丸と凛丸は闇雲を睨みつける
「……ほう、面白い」
ニヤっと笑った闇雲は2人の前から消えた
「きゃーーー!」
鈴音の悲鳴がすると思ったら
鈴音の背後に闇雲が立っていた
「鈴音!!」
「お前!卑怯だぞ!」
恐怖…泣きながら助けを求める鈴音の顔は
蘭丸と凛丸を焦らせる
「お前達のその目…気に入ったぞ、お前達の大切なものが失われた時その目は強い憎しみへ変わる。我はその憎しみの目が見たい」
そこからはあまりにも残酷で
目の前にいた鈴音は血塗れで…
闇雲は黒いモヤと一緒に消えた…
復讐を誓い
俺らは力をつけた…