桔梗の華 ~途中公開~
「伊助さん…あなたは弱くなんかない。1人でもない。分かってたんでしょ?」
私の倍はある巨体の鬼の手に触れる
指先からポワァと無数の光玉が浮かび上がり
鬼は浄化されて伊助さんの姿に戻る
「すまない…私はなんて事を…」
私の傷だらけの姿を見て涙する伊助さん
ほらね、優しいじゃない。
そっと伊助さんを抱きしめる
私と伊助さんの周りはふわふわと
光の玉が浮かび上がる
「伊助さん…あなたはあの子達を守りたくて心に住む闇が生まれたんじゃないの?」
「あぁ、私は弱い…子供達を守るために力を求めた…」
「伊助さん…子供達は伊助さんがいるからあんなに笑顔なんだよ?伊助さんはそれでも、力を求めてでも子供達を守りたいの?それで子供達は喜ぶ?」
「……私は…ホントに愚かな事を…」
「もう大丈夫。あなたの闇は消えたから」
伊助さんから感じていた微かな妖気は消えていた。そしてコロンっと…私の足元に落ちてきたモノ…
緑の結晶だった
この結晶から土地神様の力が感じる
きっとこれがおじいちゃんの。
「あの…これ…」
「それは村の外れの祠のモノです。私もうろ覚えなんですか、体が勝手に祠に向かって気づいたらそれを手にしていたんです。」
「無意識に?」
緑の結晶をギュッと握る
伊助さんの心の闇を大きくしたのは
きっとナニモノか…
パァァと私と伊助さんを囲っていた光が
消えていくと神威達と荒れた現場が
目の前に映る。
「ばかやろおおお!お前危険な事してんじゃねー!」
肩をガシっと掴まれて神威に怒鳴られる
蘭丸と凛丸は伊助さんを支えてこっちを見て
笑っている
「痛っ」
傷の痛みがまた体中に走ってきて顔が歪む
「あ、すまねえ」
パッと肩を離した神威は私を優しく抱き上げた
お姫様だっこ?!
「無茶しやがって、俺がどんな思いで…」
ブツブツと何か言ってるけど
良かった…と笑がこぼれた。