桔梗の華 ~途中公開~
桔梗の中
「もう傷は治りましたか?」
あの後伊助さんの家に戻り
怪我の処置をしてくれたおかげで
少し身体は楽になった。
「はい!伊助さんの薬草のおかげで!」
庭で帆と子供たちが追いかけっこしているのを見て微笑む蘭丸に相変わらず襖の角に寄りかかり目を瞑る凛丸。
神威はきっと外の気の上で寝てる
「桔梗さん…」
私の腕の包帯を巻きながら伊助さんは
口を開く。
凛丸も薄目でその様子を見守る
「私に囁いた悪は闇雲と名乗っておりました。ある晩に貴重な薬草を積みに外に出かけたんです。そしたら禍々しい空気の中一人の男が現れて…」
「力が欲しいか?お前は力を求めているな」
「貴方は?」
「我がお前の闇を広げてやろう」
手を翳した男から黒い霧が広がり
伊助の胸へと霧が入っていく
伊助は胸の苦しみにもがき男を見やる
「…くく、我に感謝しろ」
そう告げて消えていった
そこに残ったのは鬼へ変化した伊助だけ…