桔梗の華 ~途中公開~
「じいちゃ~ん、なにこれ~」
学校を終えて朝言われた通りに
蔵の掃除を手伝っていた
「おぉ!それはだなっ、御先祖様が封印した河童のミイラじゃな!」
ミイラ…っておいおい
ウチの神社はインチキなんじゃないかと疑う
誇り臭い箱を綺麗に拭き取り棚に並べてく
上の棚の箱を取ろうとしたら
頭にバサバサと何かが落ちてきた
「ったぁ…なにこれ?」
巻物?
何個かの巻物が足元に散らばって
そのうちの一つの紐が解けて
中身が広がった
石?…いや…形がなんかで見た事あるような
巻物の中身は勾玉の絵が描かれていた。
汚れていて文字はハッキリと分からない
「んお?それは500年前の巻物じゃないか!なんじゃーそんなとこにあったとは~」
後ろから覗き込むじいちゃんが
巻物を手に取りふむふむと目を通してく
「じいちゃん、その石ってなに?」
「勾玉じゃ、金源の勾玉と記されていて昔はこの勾玉を御先祖様が代々に渡りお清めしていたのじゃ」
「お清め?なんで?」
「この勾玉には不思議な霊力が宿っているそうじゃ、その昔妖怪が蔓延る世に生まれたもので、この恐ろしい霊力のある勾玉を手にしたものは壮大な力を得ると言われ巫女様は妖怪の手に渡らんとこの勾玉を清めていたのじゃ。」
「その石はどうなったの?」
「500年前の巫女様が己の屍と共に封印したと記されていたんじゃが、」
じいちゃんは巻物を紐で結び直し
コホンと咳払いをして深刻な顔で
私を見る。ごくんと唾を飲んだ…
「それからはしらん」
「は?!」
かなり拍子抜けした。
じいちゃんのこーゆとこに
ついていけないんだよ
「それからの事はなにも記されておらんからの~、わしの憶測だと500年前の勾玉を封印した巫女様以来実力を持った巫女が現れなくてそれからなにも記載されとらんのじゃ。」
じゃあその500年前の巫女様は
かなりの実力者だったってことか
まあ金源の勾玉を封印したほどだもんね
その勾玉にどれほどの力があるのか
私には分からないけどさ。
「珍しいの~桔梗がそこまでウチの歴史に興味を持つのは、いつもデタラメだー!とか話を流すくせに」
「流されてるって気づいてるんなら長々と昔話しなくてよくない…」
ガッハッハッと笑うじいちゃんは
作業に戻り、私も蔵の掃除を再開した。
金源の勾玉……そして巫女…
なにか引っかかる感じがしたけど
まあいっかと軽く流した。