桔梗の華 ~途中公開~
御神木
「ねえねえ聞いた?明智先輩弓道の試合で県大会1位だったらしいよ!」
朝からいつものように
かな達に囲まれていた
「桔梗ちゃん大会見に行ったのー?」
「なんで私が行くのよ」
「なんでって…そりゃあねえ」
「ねえ~」
3人の目がキラキラと私に突き刺さる
明智先輩が弓道部だった事すら
知らなかったってーの。
「水紋さん!呼ばれてるよ~!」
クラスメイトから呼ばれて
3人からの期待の目から素早く
逸らして退散した。
後ろで3人の妄想が膨らむのを
睨みながら呼ばれた方向を見ると
「水紋!おはよ!」
「明智先輩!どうしたんですか?」
噂をしていた明智先輩だった。
「いや、特に用はないんだけどさ」
ポリポリと頭を掻きながら
俯く明智先輩を不思議に思った。
「水紋さ…よかったら…うちの部に、ってあれ?」
対した用がないと思いそのまま
女子トイレに向かっていった
「先輩…ファイト」
かな達が残されて周りをキョロキョロする
明智先輩を応援していた事も知らずに____
トイレの鏡の前に立ってため息を零す
昨日のことが頭から離れなくて
自分でもどうしちゃったのか分からない
金源の勾玉_______
何故か胸がチクリとしていた。
じいちゃんに言われた通り
自分んちの昔なんてこれっぽっちも
興味が湧かなかった。
「妖怪なんてホントにいたのかね~」
はぁーーとトイレから出ようとすると
『…みど………こ』
ハッと足を止めて周りを見渡す
確かに声が聞こえた。
今女子トイレにいるのは私だけのハズ…
一体どこから…
『何故……なぜなん……』
頭の中に声が聞こえる
男の人の声、でもありえない
こんな非現実的な事があるなんて
信じたくない。
ピタリと声は止んで
気づいたら予鈴が鳴っていた、
なんだったの。