桔梗の華 ~途中公開~
麓まで登ると霧が晴れてきた
周りには一面のセンブリが咲いていた
鳥居があり橋を渡るとそこに宮古が立ってる
私たちは橋を渡ろうとしたら
鳥居を抜ける所で神威と凛丸は
倒れていた。
「え?神威!凛丸!どーしたの!」
揺さぶっても2人に起きる気配はしない
どうして急に…
「此処は貴方しか入れませんよ」
橋の奥から優しい声が聞こえる
キシキシと渡る音が聞こえて
私の目の前に来たのは巫女装束を着た老女
「この者達は寝かせておきましょう。」
「あの…貴方は?」
「ふふ、とりあえず中へ」
寝ている神威と凛丸に心の中で謝り
老女の後を付いて宮古へ入った
「私は埜鶴子_ノツルコ_」
埜鶴子…様…
「あ、私は桔梗です!」
「そうね、貴方が来るのを待ってたわ。」
ふふと笑う埜鶴子様は安心感を与えてくれる
「あのおとぼけじじぃをおじいちゃんなんて呼ぶなんて貴方くらいわよ」
あれ?なんか、あれ?
今おとぼけじじいってフレーズ聞こえたけど
目の前の埜鶴子様は穏やかに笑ってる。
いや、ナイナイ。うん、無い!
「貴方にはだいぶヒントになったんじゃないかしら」
「名前の由来ですか?」
「由来?そうねぇ…名は体を表す。本質を知り生かすも殺すも己自身」
ちょっと難しいかしらと笑う埜鶴子様
確かにすごく難しいかもしれない…
名は体を表す…
「あの一面のセンブリは安らぎと癒し。どんな邪悪な気でも浄化する程の。そして私は埜鶴子…【埜】ありのまま、そして自然、裏を返せば闇にだって染れるの、卑しい、飾り気のない、もう答えになっちゃったかしら」
ふふと円を書くように笑う埜鶴子様
「私は…桔梗、えーと、花言葉…えーと、」
一生懸命頭を振り絞っても何も思い出せない
「そりゃ無理かもしれないわね」
バッサリと吐き捨てられた言葉は
私を呆然とさせる
「あの、無理って?」
「センブリはどの邪悪な気も浄化すると言ったわね。でもその浄化をも超える邪気は無理なのよ。」
埜鶴子様は私の胸元を指さす
「貴方の力は【ソレ】によって封じられてる」
金剛の勾玉が?
嘘、玉にそんな力が…
でも何故私の力を封じられたの…
「それを外して此方に」
いつの間にか白い袴を着たおかっぱ頭の女の子が私の隣に立っていた。
勾玉を外して女の子に渡すと女の子は消えた