桔梗の華 ~途中公開~

「んん…」

さすがにここで寝てたら風邪ひく
眠い瞼を擦り視界がはっきりとしていく。

そこには一面の緑で
いつも見慣れた神社と家がなかった。

「え?え?なんで?ここは?!」

私…御神木のとこで寝てたんじゃないの?



周りは御神木を囲むように立派な木が生えてる
森はざわつくように風に流されていて
どこか不気味に思えた。



「まじでここどこ。ままー!!じいちゃーーん!!!」


大きな声で叫んでもシーンと
なんの反応もなく私の声は風に掻き消されて
寂しさが込み上げてきた。


そうだ!御神木!

後ろを振り向くとそこにいつも見慣れた
御神木だけがそびえ立っていた。

ひとつ違うのは御札が貼ってあった


「なにこれ…こんなものあった?」


御札に触れようと手を伸ばす





「こら!そこのもの!何してる!」

大きな声で叫ばれて足元がふらついて
座り込んでしまった。
周りを見るといつの間にか大人数に
囲まれていた。


昔の人が着てるような着物に
鎌や斧を持って私を怪しんだ目で見る。


てか、髪型も着物も歴史の教科書に
出てくるような昔の人みたいな……



「そこでなにしている!敵国か!」

「見慣れない衣を着ているな…」

「その御札に何しようとした!」


ザワザワと騒ぎ始める周りに
私は今の現状に頭が追いつかず
固まっていた。


「とりあえず瑞様に…」

いきなり縄で縛られて
引きずられていく。

「ちょ、ちょっとなにすんのよ!」




私このままどうなるの……
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