桔梗の華 ~途中公開~
「あ!瑞様は今日宿に泊まって行くんですか?」
「あぁ、流石に年寄りに長旅はキツくてのう」
嬉しそうにする桔梗を瑞は
いつの間に娘の様に思っていた。
埜鶴子様もきっとこの子の人柄を
気に入ったのだろう
「あれ?客人?」
妖怪退治屋の依頼の収集をしていた
蘭丸達が戻ってきて瑞様に気づく。
「瑞様は私がこの時代に来た時に面倒を見てくれた人なの。瑞様の村の近くに私は現れたからね!」
「へえ〜」
興味なさげにドサッと寝っ転がる凛丸
蘭丸と帆は瑞様に挨拶をしている
「ところであのわんちゃんは?」
「神威なら拗ねて小窓から逃げたわい」
膝に帆を抱えて瑞様が答える
あの場面を思い出してまた私は
全身が赤くなってくの感じた。
それを横目に見る凛丸は「そっ」と
目を閉じた。
内心は真っ赤な桔梗が愛らしくて堪らない
なんじゃ、桔梗も罪な女じゃの〜
帆の頭を撫でながら瑞様は考える
「あの、瑞様の故郷にある御神木から桔梗さんは来たんですよね?」
蘭丸は瑞様に質問する
「そうじゃ、村の若いのが見つけてな」
「ならあの場所に行けば桔梗さんは帰れるんじゃないんですか?」
きっと誰もが思っただろう。
「いや、桔梗と神威が旅に出る前に試したが、なんの反応も無かったんじゃ。」
「そうですか。」
私と神威は旅に出る前にその可能性があるかもと瑞様と一緒に御神木に行って、私がこの時代に来る前みたいに御神木の根っこに座ったけどなんの反応も無かった。
蘭丸は私を心配してくれてるんだね
でも…
私の中で帰りたいって気持ちと
みんなといたいって気持ちが複雑に絡まる
「ところで桔梗…その髪飾りは」
纏めた髪に付いている髪飾りを
マジマジと見つめる瑞様
「埜鶴子様の贈り物です」
良く見えるように頭を傾ける
「これは…ほう。」
この髪飾りに念が込められてるな。
埜鶴子殿…過保護すぎではありませんか。
桔梗の行動をいつも見守ってると言う事
髪飾りの桔梗の花の模様はとても綺麗だった