お見合い結婚した夫が最近おかしい件
「でも、圭いつアメリカから帰ってきたの?」

「10日前位かな。」

「そうなんだ。あっちの仕事は?辞めたの?」
「辞めたっていうか、俺が秘書としてついてた人は引退しちゃったから。そんなら日本に帰ろうかと思ったとこで、兵頭さんの秘書の話が来たんだ。」

「へー。そうなんだ。」

「じゃあ、今引継ぎ中?」

「いや、引継ぎはもう終わってる。必要なことは前任の人がデータでまとめといてくれてるし。」

「圭、相変わらず優秀なんだね~」

「そんなことないよ。むしろ優秀なのは前任の秘書の人」


「久美さんでしょ?すごいよね!!綺麗だったでしょ?」

「確かに綺麗な人だったな。でも、少しでも時間が惜しいからって社食で昼ごはん一緒に食べてたら、旦那さんに睨まれた。」


圭のセリフに、高嶺さんが横で思わずという感じで笑った。

「すいません!なんかベラベラとしゃべってしまって。」

「いえ。懐かしい友人にあったのなら仕方ありません。それに千里さんの意外な一面も見られましたし。」


「意外な一面ですか?」

「えぇ。普段とだいぶ話し方が違いますよ。」


高嶺さんがクスクス笑うので恥ずかしくなってしまった。

「せっかくだから、西園君もどうですか?一緒に夕食でも。予約してある店は、顔なじみなので融通を聞かせてくれると思いますが。」

高嶺さんが圭を誘うと圭は、助手席から私たちを振り返り、申し訳なさそうな顔をした。

「いえ。せっかくのお誘いですが、今日は実家に呼ばれてまして。」


「そっか~残念。またみんなでご飯でも行こうよ!」

「あぁ。」


圭の返事に満足した私は、この時、車内に流れていた微妙な空気を感じ取れていなかった。
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