お見合い結婚した夫が最近おかしい件
高嶺さんが予約していてくれたのは、今までにも行ったことのあるイタリアンのお店だった。

高嶺さんの知り合いが経営していて、料理がとっても美味しいのだ。


店の前まで送ってくれた今野さんにお礼を言って、圭とも別れる。


「じゃあ、今野さん、ありがとうございました。圭、また連絡するね。」



「あぁ。では、専務。明日また朝お迎えにあがります。」



「わかりました。時間はいつもどうりでお願います。」


「承知いたしました。ではお疲れ様でした。」


「お疲れ様でした。」



車が立ち去って、高嶺さんと2人きりになる。お店はあるいて5分ほどのところにあるのに、高嶺さんが動こうとしない。


「高嶺さん?」

声をかけると、高嶺さんはじっと私の方を見つめてきた。


「西園君は・・・モテそうですね。」


「そうですね。モテてましたね。」


「千里さんも、密かに想っていたりして?」


「いいえ。」


「本当に?」


何でそんなこと聞くんだろうと考えて、ふと気づいて。

「そっか!たとえ昔のことでも、もし、私が圭のこと好きだったら、さすがに気まずいですよね?
 でも、大丈夫です。本当にありえませんから。もちろん、圭も私には友情以上の感情はありません!!」


「ずいぶん、はっきりと断言するんですね。」


「はい。だって、私は圭の好みのタイプではありませんから。」


「西園くんの好みのタイプ?」


「そう。まるっきり違うんです。」


「そうですか。」


「そうなんです。」


高嶺さんはあまり納得していないようだけど、これ以上は何とも言いようがない。


「高嶺さん、早く行きましょう。私、お腹すきました。」


「私もです。」


高嶺さんがそう言って笑った。


その笑顔に満足した私は、店に向かって歩き出した。
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