お見合い結婚した夫が最近おかしい件
「では、結婚前にデートでホテルに行ったとき、泊まらずに帰ったのは、俺に気を使ってくれたんですか?」

「え?あ、はい。」


「ここに引っ越してきた時、当然のように寝室を別にしたのも?」

「・・・はい。」

「絶対にこの部屋で寝ないのも?」


「・・・はい。」


沈黙の後の質問責めに戸惑いなが答えた。


「何ということだ!!」

あ、今度は表情だけじゃなくて言葉に出ましたね。何て場違いなことを思う。


高嶺さんはというと、叫んだ後に、両手で顔を覆って何やらブツブツと言っている。


「あ、あの・・・高嶺さん?」

大丈夫ですか?とは続けられなかった。


「俺は!!」

「うわぁ!」

いきなり顔あげて叫んだので、私も変な声で叫んでしまった。


「俺は、あなたが俺と寝たくないのだと思っていました。」

優しい高嶺さんは、私が叫んだのをスルーしてくれるようです。


って、え?

「私はそんなこと思ったことありませんよ。」

「えぇ。本当はずっと千里さんの隣で寝たいと思っていました。
 何度も一緒に寝て欲しいと言おうと思ったのに、俺にはその勇気がありませんでした。」

「そうなんですか?私たち、お互いに変に気を使ってたんですね。」

「そうですね。」


高嶺さんが困ったように笑ったので、私も笑ってしまった。


「では、今日から一緒に寝ていただけますか?」

「え?」

「ダメですか?」


「いや、ダメじゃないんですけど、やっぱり恥ずかしいというか、心の準備が欲しいというか・・・」


「俺が悪いんですけど、ずっと我慢してたので、これ以上は我慢できそうにありません。
 千里さんが絶対に無理というのでないなら、俺は今日から一緒がいいです。」


そう言って高嶺さんは近づいてきて、そのまま私を押し倒した。


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