お見合い結婚した夫が最近おかしい件
ちょっと強引で驚いてけど、嫌ではない。

あ、でも歯を磨いてないな。と思い、とりあえず歯を磨きに行かせてもらおうと高嶺さんを見上げると、高嶺さんから熱い視線が注がれていた。

えーっと・・・


状況を冷静に分析すれば、確かにそういう流れだったかもしれない。

「高嶺さん?明日も早いですし、今日は寝たほうが・・・。」

そう。ここが問題だ。時刻はもうすぐ夜中の1時になろうとしている。
さすがに、ちょっと遅いのではないだろか。

明日の仕事に影響してはいけない。


「ダメですか?」

高嶺さんは、先ほどの熱い視線を引っ込めて、迷子の子犬のような表情になった。
ペタッとなった耳と、クゥンという鳴き声が聞こえてきそうな表情だ。


普段はキリっとしている高嶺さんが、そんな表情をすると、ダメとは言えない。


「明日のお仕事は大丈夫なんですか?」

「大丈夫です。」


即答されて、それ以上何か言うのは無粋なきがした。
私だって高嶺さんが嫌いなわけではない。


ゆっくりと高嶺さんの顔が近づいてきたので、私は目を閉じる。
優しく何度もキスを繰り返した後、高嶺さんは私の首に顔を埋めた。

「すいません。わがままを言って。」

「大丈夫ですよ。こんなのわがままの内に入りません。」

私が高嶺さんの首に手を回すと、高嶺さんも私を抱きしめてくれた。


こんな時に、普通の夫婦ならもっと甘い言葉を交わすのだろう。でもこれが今の私たちなのだ。
でも、これからこの関係は変わって行く気がした。


高嶺さんの熱を感じながら、そんな予感がした誕生日だった。
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