お見合い結婚した夫が最近おかしい件
「千里さん、おはようございます。」


「おはようございます。朝ごはんももうすぐでできるので、先に支度をしちゃってください。」


「今日も用意してくださったんですね。ありがとうございます。」


「いえ。しょぼくて申し訳ないんですけど。」


「千里さんが作ってくれることに価値があります。」


「そんなことないですよ。じゃあ、続きをしてきますね。」


こんな会話を毎日してる。一緒に寝るようになるまでは、高嶺さんは自分で起きてきていた。それが一緒に寝るようになって、実は朝が弱いから起こして欲しいと言われたのだ。

それまで、高嶺さんが朝に弱いイメージなんてなかったから以外だった。私は寝起きはいい方なので、快諾した。

でも、実際起こしてみたら、少し声をかけただけで起きてくれて、朝が弱いという感じはしない。まぁ、高嶺さんくらいなんでもできる人は、寝起きについての理想も高いのかもしれない。


「千里さん、明日は同窓会でしたよね?」

「はい。もともと同窓会をしようかって話が出てた時に、圭が帰ってきたので、やることになったみたいです。」


「西園君は人気者なんですね。」

「まぁ、あの顔ですからね。昔からモテます。
 多分、今回の同窓会もすごいんだろうなー」

「すごいとは?」


「肉食女子に囲まれて、嫌そうにしている圭の顔が目に浮かびます。」


「なるほど・・・」


高嶺さんは何やら黙って考えているようだ。


「高嶺さん?どうしました?」


「いや。今、西園君は彼女はいないのでしょうか?」


その問いに、私は一瞬固まってしまった。

圭は高嶺さんにゲイであること言ってないらしい。
まぁ、何か理由がない限り、わざわざカミングアウトするようなことでもないかと思う。


「あー。どうなんですかね。高嶺さんと一緒に会ったとき以来、連絡を取ってないのでわかりませんね。」


笑って誤魔化すと、高嶺さんはしばらく私の顔を見つめた後、「そうですか。」と言って笑った。

何だか気まず雰囲気の中の出勤となってしまった。
< 36 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop