お見合い結婚した夫が最近おかしい件
翌日の午後2時前。私は指定されたロイヤルホテルのラウンジにいた。キョロキョロとあたりを見回すと、一人の男性が立ち上がって手を挙げた。
見覚えがある。間違いなく、写メで苦笑いをしていた人だ。私は、彼の方へと向かった。
「申し訳ありません。」
席についてすぐ、自己紹介もしないまま私は彼に謝った。すると、彼は少し首をかしげて不思議そうに私を見た。
「あの、いとこが大変失礼なことを。」
私が、そういうと、彼は何を謝られているか理解したらしい。笑って首をふった。
「いえ。大変、面白い経験をさせてもらいました。」
「あ、あの悪い子ではないんです。ただ天真爛漫というか………。」
「天真爛漫ですか。たしかに面白い方でしたね。」
クスクスと笑う彼に、私はいたたまれなくなった。
「本当に、申し訳ありません。」
「いえ。本当に面白かったですから。それにあなたが謝る必要はありません。」
確かに、そうかもしれない。でも何とも言えない気持ちになった。
「気持ちを切り替えませんか?きっかけは忘れて普通にお見合いしましょう。」
そういわれて、私がうなずくと、それを見て彼は笑った。
「改めまして、兵藤高嶺です。」
「松井千里です。」
「『せんり』さんと、おっしゃるんですね。確か、愛梨さんは『ちーちゃん』と呼んでいませんでしたか?」
「千に里と書いて『せんり』と読むんです。」
「なるほど。それで『ちーちゃん』ですか。確か、愛梨さんと同い年とお聞きしましたが?」
「はい。学校は違いましたが、お互いの両親が仲が良かったのもあって学生のころはよく遊んでいました。」
兵藤さんは、兵藤製薬の御曹司。5歳上のお兄さんがいて、そのお兄さんが会社を継ぐらしい。兵藤さんは、今は専務だけど、ゆくゆくは副社長になってお兄さんを支えていくつもりだと教えてくれた。
兵藤さんは、とても穏やかで、真面目そうな人だ。優しそうな顔は、とても整っていて、ちょっと長めの髪とメガネがよく似合っている。頭が良いらしく、会話もスマートで飽きない。
初めこそ気まずかったが、高嶺さんはとても話しやすい人で、お見合い中、話が途切れることがなかった。気が付けば、かなりの時間が経っていた。
見覚えがある。間違いなく、写メで苦笑いをしていた人だ。私は、彼の方へと向かった。
「申し訳ありません。」
席についてすぐ、自己紹介もしないまま私は彼に謝った。すると、彼は少し首をかしげて不思議そうに私を見た。
「あの、いとこが大変失礼なことを。」
私が、そういうと、彼は何を謝られているか理解したらしい。笑って首をふった。
「いえ。大変、面白い経験をさせてもらいました。」
「あ、あの悪い子ではないんです。ただ天真爛漫というか………。」
「天真爛漫ですか。たしかに面白い方でしたね。」
クスクスと笑う彼に、私はいたたまれなくなった。
「本当に、申し訳ありません。」
「いえ。本当に面白かったですから。それにあなたが謝る必要はありません。」
確かに、そうかもしれない。でも何とも言えない気持ちになった。
「気持ちを切り替えませんか?きっかけは忘れて普通にお見合いしましょう。」
そういわれて、私がうなずくと、それを見て彼は笑った。
「改めまして、兵藤高嶺です。」
「松井千里です。」
「『せんり』さんと、おっしゃるんですね。確か、愛梨さんは『ちーちゃん』と呼んでいませんでしたか?」
「千に里と書いて『せんり』と読むんです。」
「なるほど。それで『ちーちゃん』ですか。確か、愛梨さんと同い年とお聞きしましたが?」
「はい。学校は違いましたが、お互いの両親が仲が良かったのもあって学生のころはよく遊んでいました。」
兵藤さんは、兵藤製薬の御曹司。5歳上のお兄さんがいて、そのお兄さんが会社を継ぐらしい。兵藤さんは、今は専務だけど、ゆくゆくは副社長になってお兄さんを支えていくつもりだと教えてくれた。
兵藤さんは、とても穏やかで、真面目そうな人だ。優しそうな顔は、とても整っていて、ちょっと長めの髪とメガネがよく似合っている。頭が良いらしく、会話もスマートで飽きない。
初めこそ気まずかったが、高嶺さんはとても話しやすい人で、お見合い中、話が途切れることがなかった。気が付けば、かなりの時間が経っていた。