お見合い結婚した夫が最近おかしい件
「千里さん。明日、少し早く帰って来れますか?」
風呂上り、自分の部屋に入ろうとしていると高嶺さんに声をかけられた。
「はい。大丈夫だと思いますが、どうかしましたか?」
「いや、久美さんが退職するので、千里さんにあいさつしたいと言いまして。」
「え?久美さん仕事辞められるんですか?」
久美さんとは、高嶺さんの秘書をしている人だ。高嶺さんの遠縁にあたる人で、とても綺麗で優秀な人だ。数えるほどしかお会いしたことはないが、素敵な人で、密かに憧れていたりする。
「妊娠したそうです。」
「え?そうなんですか。確か、旦那さんは同じ会社の人でしたよね。」
「えぇ。僕の同期です。」
「そうなんですね。でも。産休じゃなくて、退職されるなんてちょっと意外ですね。」
とても仕事ができる人だから、子どもが産まれても仕事を続けそうなタイプだと勝手に思っていた。
「えぇ。優秀ですからね。僕個人としても会社としても残って欲しかったんですが、本人の希望で。」
「そうなんですね。本人の希望なら仕方ないですね。」
優秀な久美さんに憧れていたから、仕事をやめてしまうのは、ちょっと寂しい気はするが本人の希望なら仕方ない。
「どこで会いますか?」
「うちがいいそうなんですが。」
「え?ここですか?もっと会社に近い方がいいんじゃないですか?」
「僕もそう言ったんですが、つわりで食べ物の匂いがダメらしくて。カフェとか飲食店だと気分が悪くなるそうなんです。」
それを聞いた私は、友達が妊娠した時、いろんな匂いがダメになったと愚痴っていたのを思い出した。
「確かに、それならうちが良いかもしれませんね。何時までに帰ってきたらいいですかね?」
「19時ごろはどうですか?」
「それなら大丈夫だと思います。」
「じゃあ、お願いします。」
「わかりました。」
「………」
微妙な沈黙が流れる。
もう話は終わったのかな?
「………おやすみなさい。」
「あ、おやすみなさい。」
私は、自分の部屋に入った。
部屋に入った、私はふと考える。
高嶺さんとこんなに長く話したのはいつ以来かと。
お見合いの時に高嶺さんの言うとおり、高嶺さんのご両親は私が仕事を続けるのに反対することもなく、孫をせかすこともない。
弁護士の仕事を続けている私は忙しく、大企業の専務の高嶺さんも忙しい。すれ違いの生活は私たち2人の距離を縮めることができずにいた。
風呂上り、自分の部屋に入ろうとしていると高嶺さんに声をかけられた。
「はい。大丈夫だと思いますが、どうかしましたか?」
「いや、久美さんが退職するので、千里さんにあいさつしたいと言いまして。」
「え?久美さん仕事辞められるんですか?」
久美さんとは、高嶺さんの秘書をしている人だ。高嶺さんの遠縁にあたる人で、とても綺麗で優秀な人だ。数えるほどしかお会いしたことはないが、素敵な人で、密かに憧れていたりする。
「妊娠したそうです。」
「え?そうなんですか。確か、旦那さんは同じ会社の人でしたよね。」
「えぇ。僕の同期です。」
「そうなんですね。でも。産休じゃなくて、退職されるなんてちょっと意外ですね。」
とても仕事ができる人だから、子どもが産まれても仕事を続けそうなタイプだと勝手に思っていた。
「えぇ。優秀ですからね。僕個人としても会社としても残って欲しかったんですが、本人の希望で。」
「そうなんですね。本人の希望なら仕方ないですね。」
優秀な久美さんに憧れていたから、仕事をやめてしまうのは、ちょっと寂しい気はするが本人の希望なら仕方ない。
「どこで会いますか?」
「うちがいいそうなんですが。」
「え?ここですか?もっと会社に近い方がいいんじゃないですか?」
「僕もそう言ったんですが、つわりで食べ物の匂いがダメらしくて。カフェとか飲食店だと気分が悪くなるそうなんです。」
それを聞いた私は、友達が妊娠した時、いろんな匂いがダメになったと愚痴っていたのを思い出した。
「確かに、それならうちが良いかもしれませんね。何時までに帰ってきたらいいですかね?」
「19時ごろはどうですか?」
「それなら大丈夫だと思います。」
「じゃあ、お願いします。」
「わかりました。」
「………」
微妙な沈黙が流れる。
もう話は終わったのかな?
「………おやすみなさい。」
「あ、おやすみなさい。」
私は、自分の部屋に入った。
部屋に入った、私はふと考える。
高嶺さんとこんなに長く話したのはいつ以来かと。
お見合いの時に高嶺さんの言うとおり、高嶺さんのご両親は私が仕事を続けるのに反対することもなく、孫をせかすこともない。
弁護士の仕事を続けている私は忙しく、大企業の専務の高嶺さんも忙しい。すれ違いの生活は私たち2人の距離を縮めることができずにいた。