愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


しかし、近所のスーパーで会うのは初めてだ。
心さんもこの辺に住んでいるのだろうか。


「何かいいことあったの?」
「そう見えますか?」
「うん」


心さんはニヤニヤと私を見下ろしてくる。
機嫌が良い理由を見透かされそうで、つい俯いてしまった。
何か話題を変えよう。


「心さんは仕事帰りですか?」
「そう。久々に早く帰れたから自炊しようかなって思ってさ。真紀が明日からの学会のために今日の午後出発したから、患者さんも少なくてね」
「あ……」


藤堂先生が言っていた学会って、明日からなんだ。水曜に帰ってくるって言ってたからしばらくは隣の部屋は静かだ。
まぁ、防音対策もしっかりしてあるから、大して生活音なんて聞こえないけどね。
でも、藤堂先生が近くに居ないというだけで、ちょっぴり寂しくなるな。






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