愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「だ、大丈夫です」
反射的に一歩下がって、まるで心さんの背中に隠れるかのように身を引いてしまった。
それに藤堂先生は一瞬目を見張るがすぐに、「そうか?」と屈めていた身体を起こした。
「真紀、あのさ今のって……?」
心さんが控えめに、私からしたら聞かなくても良いようなことを口にする。
「今の? あぁ、前の病院の同期。学会で一緒だったんだ」
「仲良さそうだったね」
「あぁ、まぁそこそこ」
心さんの探るような質問に藤堂先生は言葉を濁した。