愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


俯きたくないのに自然と頭が下を向いてしまう。
藤堂先生から麗香と呼び掛けられた人は、薄暗い中でも整った顔立ちが分かるほど綺麗な人だった。
細身でスラッとスタイルが良くて、小顔でショートカットがよく似合っていた。

マンションから出てきたということは、藤堂先生の部屋から出てきたのだと考えるのが自然だ。

大人の男女が部屋から出てくるなんて、嫌な想像が頭を過る。
それに藤堂先生は女たらしだし?


「心さん、私部屋に帰りますね」


心さんにそう声をかけて笑顔を作る。
藤堂先生にはペコッと頭を下げて通りすぎた。

セキュリティを解除して足早にエレベーターへ乗り込む。
堪えられなかった。
藤堂先生の顔が見られなかった。




< 115 / 262 >

この作品をシェア

pagetop