愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
部屋に戻ると力尽きたようにベッドに横になる。
さっきまでのどこか浮き足だったような気持ちは一気にしぼんでしまった。
胸がモヤモヤして苦しくなっている。
横を向いていると自然と涙がこぼれ落ちたが、それを乱暴に擦り「生理的な涙だから」と誰もいない1人の部屋でボソッと言い訳をする。
麗香さんーーーー
彼女かなぁ。親しげだったし、美男美女でお似合いだった。
藤堂先生、彼女いないって言ってたけど違ったんだ。
いや、特定の彼女がいないってだけで、遊ぶ彼女はたくさんいるのかもしれない。
「なにを今さら……」
わかっていたことじゃない。
引っ越ししてきた時も、初めて会った時も、藤堂先生にはそういった彼女がいたじゃない。