愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
心さんから携帯に着信があったのは、その日の夜だった。
モヤモヤしたまま夜を迎えていた私は、少しやさぐれたような気持ちで電話をとる。
「もしもし」
『里桜ちゃん? どうしたの、声が沈んでるよ』
電話をしておきながら、どうしたもないだろう。
心さんこそどうしたのだろうか。
「そんなことないです。それより、なにか用ですか?」
『冷たいね。元気かなー? って思って電話したんだけど』
電話越しでクスクスと笑われる。心配しているわりにはなんだか楽しそうなのは気のせいだろうか?
「なにか用ですか? ないなら切りますけど」
ムッとした気持ちで再び問いかけると、慌てたように『待って、待って』と引き留めた。