愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


呆気にとられたが、このまま帰すのもと思いオートロックを解除する。
ほどなくして、玄関のインターホンがなった。開けると心さんが笑顔で立っている。


「……来ます? 普通」
「来ちゃった」


面倒くさい彼女のようなことを言う。


「家のなかに入れなくていいから、これ受け取って」


心さんは手にしていた紙袋を渡してきた。中を覗くとタッパーがいくつか入っている。


「肉じゃがとポテトサラダとカレー」
「心さんが作ったんですか?」
「そう。ちゃんとご飯食べていないだろうなって思ってさ」


その通りだ。忙しさもあったが、なんだか食べる気になれていなかった。

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