愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
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男性に好きだと言われて悪い気がする人はそういない。
私だって例外ではなく、心さんに好きだと言われて少しだけドキッとしたのだ。
失恋した心の隙間を他の人と付き合うことで埋めていき、いずれその人を好きになる、なんてことはよくあることなのかもしれない。

心さんは素敵な人だ。
ルックスは言うかことなしだが、性格だって明るくて優しくて穏やかで、しかも料理が得意。
言うことなし、むしろ私には勿体ないくらいの相手だ。
そんな人となら、きっと幸せになれるかもしれない。


『返事はまた今度聞かせて』


そう言って帰っていった心さん。
30歳を前に、そろそろ結婚だって考えなきゃいけないし。叶わぬ恋より新たな恋だ。心さんの申し出は有難い。
考える時間もくれた。

わかっている。わかっているのに……。

まだ私の心には藤堂先生がいるのだ。考える時間をもらったとしても、そう簡単に切り替えていこうとは思えない。


「ハァ、どうしよう……」



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