愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
取り返しのつかないことになるところだった。一月前の自分を殴りたいのと泣きたい気持ちが交互で襲う。
鈴木主任がくれた缶コーヒーを見つめる。
このコーヒーには、『お説教の後に一杯飲んで気持ちを落ち着かせてからフロアに戻っておいで』という意味が込められており、鈴木主任の部下はみんなそれを一度は経験していた。
プルタブをカチャッと音をさせて開ける。
目に涙が滲むがコーヒーを喉に流し込むことで一緒に飲み込んだ。
しかし今は特に涙腺が緩くなっている。
コーヒーを飲んでも効果はなかったようだった。