愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


なんとか気持ちを切り替えて、関係各所に謝罪のメールと電話を行う。
そして、全ての雑務が終わった頃にはフロアにはほとんど人がいなくなっていた。

人がまばらな電車に乗り込みボーッとしているとあっという間に最寄り駅につく。
疲れと落ち込んだ気持ちのまま、のっそりと体を動かして改札を抜けるとマンションの前に一台のタクシーが止まった。


「あっ」


しまった、と思った時にはもう遅い。なかから藤堂先生が降りてきたのだ。
藤堂先生も私に気が付いて一瞬驚いた様子を見せた。


「よう、今帰りか? お疲れさん」


いつもと変わらない口調に胸が痛くなる。



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