愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
喫茶店からマンションまでは5分程度なのに、心さんは送ると聞かなかった。
「せっかくだし、彼氏らしいことさせてよ」
はにかむ心さんが可愛らしい。
私のペースに合わせてゆっくり歩き、たった5分の道のりをずっと話してくれていた。
そして、「ねぇ」と私の腕を軽く引く。何事かと見上げ、その視線の先を追うと、その先には藤堂先生がクリニックの中から、驚いたように私たちを見ていた。
「心さん!」
思わず抗議の声が上がってしまう。
「初めが肝心だよ。真紀に改めて言うのもなんだし、察してもらおうよ」
それはそうかもしれない。
それでも、私はまだ顔が合わせずらかった。