愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


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「信じらんない! なにやってるのよ、朝比奈」


鈴木主任は対面の席で顔をしかめて私を叱った。
仕事のことではない。
お昼休みに藤堂先生とのこと、心さんとのことを全て話した。そして今、鈴木主任は仕事でも滅多に見せないような厳しい顔をしている。


「そんなに怒らなくても……」


私が驚くと「呆れてるのよ」とため息をついた。


「朝比奈は本当にそれでいいの?」


静かな声で問われて、一瞬声が詰まった。


「いいんですよ」
「本当に? 私は絶対後悔すると思うけどね」
「後悔なんて……」


していない。心さんといれば幸せになれるだろう。
無理に苦しまなくても、きっと心さんが幸せにしてくれる。



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