愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
一瞬、喉がグッと詰まるような感じがする。
そんな風に苦しくなる自分を殴りたくなった。私が決めたことなのに。そんな気持ちになるなんて、心さんに失礼だ。
「はい。付き合っています」
大きく息を吸い込んでから、壁の向こうにいる藤堂先生に笑みを浮かべて答える。
私は心さんを好きになると決めたんだ。
藤堂先生には笑顔で報告しなくては。
「心が、好きだったのか?」
「……好きになりたいなって思うんです」
「なんだそれ!?」
私の返答に藤堂先生は驚いたようにベランダから覗き込んでくる。