愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「藤堂先生には関係ないことです」
「あるだろう。俺の従兄弟だぞ」
そうだけど。
「中途半端に心が好きなら……、本当に好きじゃないなら止めとけ。好きになってくれたから好きになりたいとかじゃなくて、本当に好きな奴と付き合えよ」
それが出来ないんじゃない。
だから忘れるために心さんを好きになろうとしている。
酷いことかもしれない。そんなことはわかっている。でもそれを藤堂先生に指摘されるのは辛い。
「どうして藤堂先生がそんなこと言うんですか?」
「俺は単に心配で……」
「藤堂先生は自分の幸せだけ見ていれば良いじゃないですか!」
「え?」
「先生は自分の彼女のことだけ考えていればいいんですよ! これは私と心さんの事だから先生には関係ありません!」
そう言い捨てて部屋に戻る。
カーテンを後ろ手で閉めて、項垂れた。
まただ。どうして藤堂先生とはこうなってしまうのだろう。
笑顔で心さんと付き合っていることを報告して、それで終わりだったのに。