愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
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それは、翌週に起こった。


「それでは、これにて本日のイベントは終了となります。お疲れ様でした」


隣で先輩が集まっていた全体に大声で挨拶をする。
今日は人気モデルがうちとコラボしてプロデュースまでした下着やパジャマの制作発表イベントの手伝いに駆り出されていた。人気モデルなので大盛況で幕を下ろすことができた。
私の直接の担当ではないとはいえ、そこそこ大きなイベントなので課の人達総出で手伝いに来ている。
しかし、室内とはいえ我々スタッフは動き回って汗だくだ。


「朝比奈、大丈夫? 顔色が悪いわ」


みんなが打ち上げへ流れるなか、座ったまま動かない私に鈴木主任が声をかける。


「大丈夫です」


そう言ったつもりなのに声が出なく、目眩を起こした。手も微かに震えて気持ちも悪い。


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