愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「外では話しにくい病院の内情とか経営状況とか、深い話も聞いた。水島総合病院の院長で麗香の父親とは研修医時代に世話になったから少しでも助けようと、クリニックが終わった後の数時間だけ手伝ってたんだ」


そこまで話すと藤堂先生は急に苦々しそうな表情に変わった。握った手が微かに力が入る。


「なのに、麗香は俺に自分と結婚してあの病院を継いで欲しいと言ってきたんだ」
「結婚……」


その言葉に絶句してしまうほど、衝撃を受けた。
麗香さんは復縁どころか、結婚を迫っていたなんて。


「もちろん断った。昔のよしみで手伝っていただけで、俺にはそんなつもりはなかったんだ」
「そうなんですか?」
「ああ」


藤堂先生は大きくはっきり頷いた。


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