愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「あれ?」
戸惑う私に藤堂先生は笑いながら大きな手で頬を拭う。
その手の大きさにドキッとしながら、どこか安心感をもたせる。
「麗香は病院を手伝って欲しいっていうのは、ほとんど口実で本当は周りに俺の存在を示して結婚しようと考えているみたいなんだ。今日も本当は麗香の父親と三人で飯を食う話になっていた」
「良かったんですか? 出なくて」
「勝手に麗香が予定しただけだから。俺はどう逃げようか考えてた」
藤堂先生はいたずらっ子みたいな笑顔を見せる。
「何度も言うけど、俺は朝比奈が好きだから麗香とのことは考えられない」
藤堂先生の手が私の頬を撫でるように触れる。
その目が私の答えを待っている。