愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「実はこの前、心と電話で話をしたんだ」
「え?」
心さんと?
私が目を丸くすると藤堂先生は真剣な目で言った。
「朝比奈のこと、どこまで本気か聞いた。心の答えによっては、俺は諦めるとも」
藤堂先生が諦めなかったということは、心さんはそこまで本気ではなかったということ?
なんだかそれも複雑な気持ちになる。
私の思いを察したのか、藤堂先生は笑って首を振った。
「心は心なりに本気だったよ。ただ、やっぱり朝比奈の気持ちが一番だとも言っていた。きっと朝比奈が完全に自分に気持ちが向く前に、お互い疲れてしまうだろうとも」
「心さん……」
「それと、さっき言っていたことも本当らしいな」
私はなんて酷いことをしてしまったのだろう。
最低だ。心さんは私の気持ちを初めからわかっていたんだろう。でも、気が済むようにしてくれたのだ。