愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
次の瞬間、感じたのは頬に当たる鋭い痛みではなく、唇に柔らかいものが触れただけだった。
「え……」
「俺がお前を叩けるわけないだろう」
目を開けると数センチの距離に藤堂先生の顔があった。
そしてそのまま私を抱き締める。
「違う! 藤堂先生っ」
「違くない。朝比奈、心の事を考えるのはもうやめろよ」
背中に回った腕に力が入る。
「俺のこと考えろ。俺を好きだって言えよ」
どこか懇願するような声で私に囁いてくる。
「それとも俺のこと嫌いになったか?」
「嫌いになんて、なれない」
藤堂先生の服をキュッと掴む。