愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


クリニックはちょうど閉まった直後のようで中には誰もいなかった。
待合室に座って涙を拭く。心さんが近くの自販機でお茶を買ってきてくれた。


「麗香に何を言われた?」
「……藤堂先生は麗香さんと結婚する気はないと言いましたよね?」


藤堂先生の質問を無視して聞くが、嫌な顔ひとつせずに大きく頷かれる。


「ないよ。俺には里桜だけだから」
「麗香さんのお父さんと先生のお父さんも二人の結婚を望んでいたとしても? もはや、政略結婚になろうとしていても?」


震える声でそう聞くと、藤堂先生は驚いたように目を見張った。


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