愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


「麗香がそう言ったのか?」
「……別れてほしいって。藤堂先生は心臓外科に戻るべき人間だって」


ボソッと呟くと、藤堂先生は厳しい表情をしてから、私のことを抱き締めた。


「俺は心臓外科には戻らない。ずっとここにいるよ」


その言葉に腕の中で頭を横に振る。


「私は先生がしたいことをすれば良いと思ってます。だから、藤堂先生が心臓外科に戻りたいならそれでも構いません。でも……、でも私から離れて行っちゃ嫌です」


最後の言葉は絞り出すような声になってしまった。
政略結婚とかで離れ離れにはなりたくない。藤堂先生と別れたくない。


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