愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「何するんですか! 仮にも病人ですよ!」
「うるせーよ、もう治ってんだろ」
確かに治っているけども!
痛いわけではないが、昨日が初対面の女性にすることではない。プリプリと怒っていると、いつの間にかクリニックの窓にはカーテンが引かれ『本日の診察は終了しました』という看板が立て掛けられている。
しかも佐藤さんもいない。
「じゃぁ、私帰りますね」
軽く会釈をして踵を返すと、クリニックの扉が勢いよく開いてひとりの男性が飛び込んできた。
「真紀ー!!」
「きゃっ」
バランスを崩して後ろによろけるが、その身体を藤堂先生が受け止めた。
スマートな体型なのに、意外とガッチリしていて筋肉質なのか私が勢いよく倒れこんでもびくともしない。
その力強さについ赤面してしまった。慌てて藤堂先生から離れる。
「ご、ごめんなさい」
「いや、大丈夫か? おい! 心、あぶねーだろ」
藤堂先生は飛び込んできた男性を叱った。